現在、クラウドコンピューティングはビジネス分野および個人利用の両方で重要な役割を果たしています。これにより、ハードウェアの購入が不要になり、事前のインフラ計画も不要となります。いずれも多くの時間とリソースを要する作業です。
AWSは、東南アジア地域におけるクラウドシステムの重要性を認識し、2012年にシンガポールに拠点を設立しました。そして最近では、2025年初頭にアジア太平洋(タイ)リージョンを正式に開設しました。このリージョンは、3つのアベイラビリティゾーンとリージョンコード「ap-southeast-7」とともに一般提供が開始されています。これにより、ユーザーはより安定した環境でクラウドを活用し、アプリケーションの開発が可能になります。

タイで初日から利用可能なAWSサービス
AWSのサービス提供は、以下の2つのフェーズに分かれています。
- 初日から利用可能なサービス
- 今後12か月以内に提供開始予定のサービス
この段階的なアプローチにより、ユーザーは必要なサービスが現在利用可能かどうかを評価できるほか、リージョン内でまだ提供されていないサービスについても、事前に計画を立てることが可能になります。

初日から利用可能な主要サービスの例
- Amazon VPC – クラウド上にネットワークインフラを構築するためのサービス
- Amazon EC2 – 各種アプリケーションを実行するための仮想サーバーを作成するためのサービス
- AWS IAM – 権限やシステムアクセスを管理するためのサービス
AWSタイリージョンの開設に伴い、AWSは今後サービス提供の拡大を継続的に進めていく予定です。ユーザーはAWSのロードマップを参照することで、将来の利用計画をより効果的に立てることができます。

タイにおけるAWSリージョンのメリット
1. レイテンシの低減
シンガポールのデータセンターを利用する場合と比べて、データ転送の高速化が期待できます。
2. コンプライアンスのサポート
個人情報保護法(PDPA)などの規制に準拠し、企業が国内でデータを保管できるようになります。
3. コストの削減
AWSシンガポールと比較して、コストは約10%低くなります。これにより、予算管理がより効率的に行えるようになります。
使用開始前に考慮すべきこと
AWSは現在タイでも利用可能となっていますが、一部のサービスは、シンガポールで提供されているものほど網羅的でない場合があります。
そのため、システムをタイリージョンに移行する前に、以下の点を慎重に検討することが重要です。
- 現在ご利用中のサービスがAWSタイリージョンでサポートされているかどうか
- 他リージョンのシステムと接続する際に発生する可能性のあるデータ転送コスト
- 新しいプロジェクトから段階的に始め、運用を拡大する前に安定性をテストすること
慎重な計画を立てることで、AWSタイリージョンの利点を最大限に活用し、効率的かつコスト効果の高い運用を実現することが可能になります。
まとめ
AWSタイリージョンの開設は、タイにとって重要な一歩です。これにより、タイは投資家にとってさらに魅力的な市場となり、デジタル産業の成長が促進され、より多くの雇用機会が創出されます。
さらに、データを国内に保管できるようになることで、PDPAなどの法的規制への対応が容易になり、コンプライアンスの面でも安心感が高まります。
一方で、タイにおいてAWSを活用する際には、コスト・安定性・ビジネス価値の観点から効率を最大化するため、慎重な計画と評価が不可欠です。
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