AWS IAM(Identity and Access Management) は、Amazon Web Services(AWS)が提供するサービスで、AWS リソースへのアクセスを安全に管理できる仕組みです。
IAM を利用することで、次のことが可能になります。
- ユーザー(Users)の作成:AWS にアクセスするための個人アカウントを作成します。
- グループ(Groups)の作成:同様の権限を持つユーザーをまとめて管理します。
- ロール(Roles)の利用:たとえば EC2 が S3 にアクセスできるようにするなど、役割に基づいたアクセス権を付与します。
- 認証情報(Credentials)の利用:Access Key や Secret Key などの長期的な認証情報を管理します。
クラウドインフラは、現代のアプリケーション開発を支える基盤となっています。そのため、安全なアクセス管理は、あらゆるクラウドアーキテクチャにおいて欠かせない要素です。
本記事では、AWS IAM ロール に焦点を当て、恒久的な認証情報に依存せず、AWS 環境全体で安全かつ柔軟で効率的なアクセス制御を実現するための重要なツールとして紹介します。

IAMロールは?
IAM ロール(Identity and Access Management Role) とは、AWS 内で実行できるアクションを定義する「アクセス許可の集合」です。IAM ユーザーとは異なり、恒久的な Access Key や Secret Key を必要としません。
簡単に言えば、IAM ロールは「一時的なアクセス権限」を持つ ID のようなものです。
このロールは、ユーザー、AWS サービス(EC2、Lambda、ECS など)、さらには 外部アプリケーション にも割り当てることができ、ユースケースに応じて安全かつ制御されたアクセスを提供します。

IAM ロールの構成要素
- トラストポリシー:どのエンティティ(例:EC2、Lambda、他の AWS アカウントのユーザーなど)がこのロールを引き受ける(assume)ことができるかを定義します。
- アクセス許可ポリシー:このロールが実行できる操作を定義します。(例:S3 からの読み取りや DynamoDB への書き込みなど)
- セッション期間:ロールの一時的なセッションが有効な時間を設定します。(例:1 時間、12 時間など)
EC2 から S3 へのアクセスを許可する事例
シナリオ:
アイコネクト会社では、EC2 インスタンス上でアプリケーションを運用しています。
このアプリケーションは、S3 バケット内のデータを読み書きする必要がありますが、ソースコードや設定ファイル内に認証情報を埋め込まずにアクセスしたいと考えています。

IAM ロールポリシーの例(EC2 に付与するロールに設定)
{
“Version”: “2012-10-17”,
“Statement”: [
{
“Effect”: “Allow”,
“Action”: [“s3:GetObject”],
“Resource”: [“arn:aws:s3:::example-bucket/*”]
}
]
}
実装手順
- s3:GetObject 権限を持つ IAM ロールを作成します。
- EC2 がこのロールを引き受けられるようにトラストポリシーを設定します。
- 作成したロールを EC2 インスタンスにアタッチします。
結果
EC2 インスタンスは Access Key や Secret Key を使用せず、安全に S3 にアクセスできるようになります。
IAM ロール活用のベストプラクティス
- 自動化やサービス間アクセスには、IAM ユーザーではなく IAM ロールを使用すること。
IAM ロールを使用することで、アクセスキーの管理負担を軽減し、より安全なアクセス制御を実現できます。 - 最小権限の原則(Least Privilege)を適用し、必要最小限の権限のみを付与すること。
不要な権限を付与しないことで、セキュリティリスクを最小化できます。 - IAM Access Analyzer を利用して、過度に広い権限を持つポリシーを特定すること。
これにより、誤った設定や過剰なアクセス許可を早期に検出できます。 - 使用していないロールは、定期的に見直し・削除すること。
ロールの定期的な監査により、不要な権限の残存を防ぐことができます。 - AWS CloudTrail を有効化し、ロールの引き受け(AssumeRole)や操作履歴を監査すること。
監査ログを有効にすることで、アクセス履歴を追跡し、不正アクセスや設定ミスを検出しやすくなります。
まとめ
IAM ロール は、AWS 環境におけるアクセス制御を安全かつ効率的に管理するための強力なツールです。その構造、設定方法、そして実際のユースケースを理解することで、より安全で柔軟なクラウド環境を設計できます。また、恒久的な認証情報や人的ミスに伴うリスクを大幅に低減することが可能です。