多くの方は、デジタルデータを保存する様々な形式のデータストレージをご存知でしょう。 データストレージは、CD、フラッシュドライブ、ハードディスクから時代とともに進化し、現在ではクラウドストレージにデータを保存することが一般的になっています。
最近では、人々はインターネットを広く利用しているため、インターネット上の写真、ビデオ、および様々なコンテンツを含むデータ量は益々増加する傾向にあります。2020年末のデータ収集調査によると、インターネット上には世界中で約44ゼタバイト(注1)、つまり約44億テラバイトのデータがありました。
(注1)ゼタバイト:Zettabyte(ZB)は、デジタルストレージ容量の尺度です。1ゼタバイトは1021または1,000,000,000,000,000,000,000バイトです。
2025年までに、インターネット上で生成されるデータ量が約175ゼタバイトに及ぶと推定されています。
上記の数値を見て、全てのデータはどこに保存されるのか、どのくらいの大きさのストレージが必要か疑問に思う方がたくさんいらっしゃるでしょう。では、例として次のGoogleデータセンターの写真を見てみましょう。大きさが想像できるようになったでしょうか。
さて、本題に入りますが、最近発明されたデータ保管方法は、DNAにデータを保存することです。これは、技術を活用してDNAを人工的に合成するDNAストレージとも呼ばれます。DNAストレージの始まりは1959年でした。20世紀で最も影響力のある物理学者であるリチャード・ファインマン氏は、物事を小さくするアイデアを発表しました。つまり、同じ機能を持っているモノが小さくなると、容量をより有効的に活用できるようになるのです。これは、後にナノテクノロジーの概念になりました。 また、彼は細胞と同じくらい小さい生体物質を利用できるかもしれないとコメントしました。
この発想により、後に何度も試験が繰り返された結果、DNAストレージの形でデータを保存できるようになりました。DNAとハードドライブの容量と重量を比較すると、下記の図通り、容量の差異が1グラムあたり200万倍であることが分かりました。
これは、DNAが非常に小さく、その主な構造が長いポリヌクレオチド鎖の二重らせんで構成されているためです。各ヌクレオチド鎖には、「窒素塩基」と呼ばれる小さなストレージが含まれています。この塩基は、コンピューターの基本単位のビットと同じ方法でデータステータスを維持する為に重要なものです。0と1の状態に似ている特定の塩基対のみとペアになっていますが、塩基のサイズはナノメートルで小さい為、膨大なデータを保管することができます。
次はDNAストレージにデータを保存する3つのステップです。
ステップ1:データ暗号化
保存する全てのデータを、0と1の状態のみを持つコンピューターのビットに変換します。 これは、コンピューターが読み取れるデジタルデータです。
ステップ2:DNA合成
データがデジタルファイルに変換されたら、アルゴリズムまたは特殊なプログラムを使用して、これらのデータを特定の形式のDNA鎖の塩基配列に変換します。
ステップ3:データ復号化
合成されたDNA鎖にデータを記録した後、データを読み取りたい場合は、それらのDNA鎖を持ってDNAシークエンシングプロセスを実行します。 これは、データをコンピュータービットに変換し、記録した画像、音声、またはビデオデータになるように処理することです。
DNAストレージ技術の研究開発は進化し続けています。例えば、2016年にマイクロソフト社とワシントン大学は共同でデジタルデータを完全に保存する最初のDNAベースのシステムを開発しました。マイクロソフト社は、研究チームが全てのデータを自動的に収集および取得できるようになったことを発表しました。 また、今後DNAストレージを使用するプロジェクトもあります。クラウドサービスにおける大規模なデータをアーカイブすることから始まる予定です。
将来、DNAストレージが実際に使用できるようになるとしたら、現状の巨大なデータセンターが小さな硬貨のサイズになるかもしれません。