レジ会計のないウォークスルー決済

「ウォークスルー決済」や「キャッシャーレス決済」という言葉を聞いたことがある方が多いのではないでしょうか。これは、外出したくない、たくさんの人々に対面したくない、レジで支払いを待つことにうんざりしているなどの理由で、自宅でオンラインショッピングをする傾向にある現代人の買い物行動をサポートする技術です。

この技術を導入した最初の企業はAmazon.comでした。2018 年 1 月 22 日にAmazonはAmazon Goを正式に開店しました。顧客は来店して棚から商品を取り、レジに並ぶことなく、店を出ていくことができます。店舗を出た直後、仮想カートにある商品に対して自動的に請求されて、領収書を顧客に送ります。

最近ではこのようなキャッシュレス決済を利用する企業が増えています。

ウォークスルー決済の導入例は以下の通りです。

米国のアマゾン

アメリカの有名な e コマース企業である Amazon.com は、最初のレジ無しスマート・コンビニエンス ストア「Amazon Go」を開店しました。

現在、Amazon Goは20店舗以上あります。2020年にAmazonは、Amazon Goと同じようなレジ無し技術を活用する「Just Walk Out」システムの販売を開始しました。他の小売業者は同システムを購入して店舗で使用できるようになりました。アメリカのAmazon Fresh店舗でも採用されています。

この「Just Walk Out」システムは、カメラ、センサーフュージョン、コンピュータービジョン、ディープ ラーニング(深層学習)を組み合わせたテクノロジーを利用しています。これにより、顧客が購入したい商品を取って、レジで並んで会計する必要がなく、店舗を出ることができます。

Just Walk Outシステムは、現在スーパーのWhole Foods Market、コーヒーショップのスターバックス、アメリカのメジャーリーグベースボールスタジアムで使用されています。

また、2021年4月にAmazonはイギリスのロンドンで最初の美容室「Amazon Salon」をオープンしました。これはヘアサロンだけでなく、AR (拡張現実) アプリを使って、顧客が様々な仮想のヘアスタイルやカラーを試すことができます。それに、「ポイント・アンド・ラーン技術」を使って、ヘアケア商品を販売します。

顧客は陣列棚にある商品を指差すだけで、ブランドの動画や教育コンテンツなどの製品情報がディスプレイに表示されます。そして、表示されたQRコードを読み取るだけで、アマゾンのウェブサイトで商品を購入することができます。購入した商品は後日自宅に配送されます。

将来、Amazonは映画館、レストラン、フィットネスセンターなど、他の事業分野にも拡大することが期待されています。

日本のローソン

2022年10月11日、日本コンビニ大手のローソンは三菱食品本社にローソンゴー(Lawson Go)1号店をオープンしました。これは、レジスタッフのいないキャッシュレスショッピング体験を実現するウォークスルー決済を導入した店舗です。顧客は事前に「Lawson Go」アプリをダウンロードして、クレジットカード情報を登録する必要があります。そして、アプリは店舗のゲートでスキャンするQRコードを生成します。顧客はそのQRコードをかざして入店できます。

ローソンゴー店舗は現在実験を行っていますが、今後他の店舗へ展開する予定です。実験中、ローソンは様々なフィードバックを受けました。例えば、最短時間で買い物をしたい顧客に対して利便性が高い、店舗スタッフの昼休みの自由時間が増えたなどです。一方、詐欺や盗難対策、センサーエラーが気になるという声もあります。

Sensei

Senseiは新型コロナウィルスの感染拡大により2021年の半ばにオープンしたポルトガルのレジ無しスタートアップです。当時、人との接触を避ければ、感染リスクを減らすことができると考えられたため、レジ無し決済店舗を開店しました。

現在、Sensei店舗はポルトガルのリスボンにあるSonaeデパートに1店舗しかありません。Amazon Goと同じように、このシステムはカメラ、センサー、AI アルゴリズムを使用して顧客の行動を把握し、顧客が棚から商品を取り出したり、棚に戻したりしたことを検出します。Senseiの開発チームは、今後さらに店舗数を拡大する予定です。

JD.com

中国大手EC第2位の京東商城、あるいはJD.comは、「無人店舗」技術を活用しています。2017年10月に北京本社に無人スーパーをオープンしました。その後、2018年にインドネシアのジャカルタに最初の海外店舗を開店しました。

中国における顧客は店内に入るため、「WeChat」アプリへ情報を事前に登録する必要があります。無人スーパーでは、RFID (ICタグ)、顔認識カメラ、センサーを使用して、顧客の動きを把握して、データを収集します。

そして、そのデータを分析して、顧客のニーズを満たすために需要の高い商品を常に陳列に補充します。

現在、JDは中国でレジ無し店舗を20店舗以上展開しています。インドネシアでは、35万SKU以上の商品を販売し、全国の 2千万人を超える消費者がJDの無人店舗を利用しています。

上記はウォークスルーキャッシュレス決済システムを導入している店舗の一例です。コロナ禍で消費者の行動が変化しました。それ以来、消費者がより便利な金融技術を使用し始めました。将来、レジ無し決済サービスを利用する商店や娯楽施設などが徐々に増えると思われます。

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