モノのインターネット (IoT) デバイスの採用数は過去 5 年間で何倍にも増加したことをご存知でしょうか。これらの IoT デバイスは、運動情報や健康情報を追跡するスマートウォッチ、インターネット接続を介してどこからでも電化製品やその他のデバイスをリモートで制御できるスマートホームデバイスなど、日常生活で見られるものです。
また、スマートフォンへの切り替えにより、他者とのコミュニケーション方法、インターネット使用、およびオンライン活動(SNS使用(Facebook、Twitter 等)、様々なアプリの使用、ネット通販等)が変わりました。
これらの IoT デバイスから収集された使用データは顧客の行動、関心、好みに関する役立つ情報を提供します。これにより、行動のインターネットの概念が生まれました。
行動のインターネット「IoB」とは?
リサーチ・アドバイザリーのガートナー社によると、「行動のインターネットは人々の日常に関するデータであるデジタル・ダストを様々なソースから収集します。公共または民間の組織は、行動に影響を与えるためにこの情報を使用することが可能になります。」と言われています。
人間の心理学者の意見では、「IoB の概念はデータを適切に理解して、新製品の開発や生活の促進に取り組むことを目的としている」と言われています。
Web アプリケーションでのユーザー行動を見てみましょう。例えば、ノートパソコンでネット通販を行ったり、スマホで商品を検索したりするとき、ウェブサイトでどのように行動するかによってデータが異なります。それは商品を検索することや、ボタンをクリックすること、画面をスクロールすること、特定のページに一定時間留まることなどです。これらのデータは、行動分析のための行動データとして収集することができ、「ビッグデータ」の概念になります。そして、次のステップはIoBの概念になります。
IoB は、人の行動心理学の面でユーザーデータを分析するプロセスです。この分析の結果により、ユーザーエクスペリエンス (UX) と検索体験最適化 (SXO)の開発、製品とサービスの開発、および促進の開発への新しいアプローチを導きます。
IoB のメリットは、以下のようなものがあります。
- 全てのプラットフォームで顧客の購入と支出の習慣を分析します。
- 顧客がデバイスや製品とどのようにやり取りするかを研究します。
- カスタマージャーニーに関する深いインサイトを得ます。例えば、顧客がどのチャネルで何を求めているのか、顧客にブランドの印象を与えるにはどうやるのか、顧客に製品の購入を決めてもらうにはどうやるのか等が挙げられます。
- 販売時点情報管理(POS)の通知と広告をリアルタイムに提供します。
- 取引を成立し、顧客を満足させるために問題を迅速に解決します。
IoB の採用は、ビジネスの成功に貢献する要因です。最近では、多くの企業が IoB の概念を適用しています。
- アメリカのソフトウェアのBMC 社は、個人の健康データ (食事、睡眠パターン、心拍数または血糖値) を追跡して収集するスマートフォン健康アプリを開発しました。このアプリは、ユーザーに現在の健康状態を通知し、より良い健康を目指すための行動修正を提案することができます。
- オンライン教育ベンチャーのUnacademy は、ユーザーがニーズや将来のキャリア計画に合わせてオンラインコースを計画するのを支援するために、IoBの概念を活用しています。
- インテル株式会社は、従業員の行動を研究してそれをリスク評価のリスク基準として事業運営に使用するために顔認識でIoBを活用しています。
- PwCは、リモートワーク(WFH)の場合に従業員のパフォーマンスを追跡するためにIoBを使用しています。
- Facebook と Google は行動データを使用して、ユーザーに対して面白い広告を表示します。 これにより、企業はターゲットユーザーと効率的につながり、CTR (広告のクリック数をインプレッションで割った値) を高めることができます。
- YouTubeは、ユーザーの行動データを分析し、ユーザー体験を向上させ、ユーザーの関心を持ちそうな動画やプレイリストを勧めるようにします。
顧客の行動データを収集して分析することは、多くの利益をもたらす可能性があります。その一方で、これらのデータは顧客の情報であるため、データのプライバシーに関する論争があります。これは、個人情報を保護する法律である PDPA が完全に施行されているためです。
さらに、データの盗難を防ぐためのサイバーセキュリティに関する懸念もあります。 特に、情報が漏洩したり、サイバー犯罪者がデータを盗んだりするとき、悪意のある目的に使用される可能性があります。
結論として、テクノロジーには長所と短所の両方があります。 ビジネス上のメリットのために IoB 技術を採用するには、データの保管と処理におけるデータセキュリティ、倫理、および消費者の信頼性も考慮する必要があります。
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